社内の一部からはDX推進役である稲田氏が社長に就任すれば、関電の“改革”の象徴になると期待を寄せられていた。ところが、関電の原発マネー還流問題で岩根社長が辞任することが決まった。後ろ盾を失った稲田氏の旗色が悪くなったとの見方が出ている。
原発マネー還流問題により、そうした改革の火も消えてしまうのかもしれない。
会長は外部招聘案が浮上も
「成り手がいない」
空席となっている会長職については、外部から招聘する案も浮上している。
モデルとなるのは、東日本大震災による福島第一原発事故の影響で、事実上国有化された東京電力ホールディングスだ。東電は2012年以降、会長職に外部経営者を招いていている。現在は川村隆・元日立製作所会長が会長を務める。
東電の原発事故と関電の原発マネー還流問題は同列に語れないとしながら、関電のガバナンス体制を立て直すために外部から大物経営者を招くべきという意見は強い。
もっとも、関西経済界のトップ企業である関電の会長を引き受ける人物がいるのかという問題はある。ある関西財界関係者は「誰も火中の栗を拾いたくないし、関電の会長職は恐れ多いというのもあって、成り手がいない」とこぼす。
いずれにせよ、関電の新経営陣に待つのは茨の道である。