30万円超の報酬がもらえる
マイクロソフトとLINE

 実際の就業型のインターンシップがどのようなものなのか、幾つかの企業の取り組みを紹介しよう。

現在のインターンシップは、「青田買い」の場になってしまっているのか10月1日の日本マイクロソフトの内定式。同日着任した吉田仁志社長(前列中央)を囲む面々は、金髪あり、着ぐるみありと個性豊かだ

 日本マイクロソフトでは「インターンシップは採用の非常に大事なルートとして位置付けている」(前出の杉田氏)。それ故にインターンシップに参加するためのハードルはかなり高い。

 まず募集人数50人に対し1000人を超える応募がある。そこから選考していくわけだが、採用を意識しているだけあってそのプロセスはかなり練り込まれている。

 通常ありがちなエントリーシートの提出やウェブテストなどは一切ない。その代わりに、自分をアピールするためのホームページをマイクロソフトの技術を活用して作り、エントリーする。「見る方は(エントリーシートなどより)手間が掛かるが、学生の思いや技術レベルもある程度見ることができる」(アクセノフ・ユージン新卒採用マネージャー)。

 この段階である程度絞り込み、最後に受け入れ部門の現場のマネージャーが最終面接を行う。こうして2カ月間のインターンシップのメンバーが選ばれるのだ。

 もちろん参加できたからといって全員が採用されるわけではない。同社が求めている人材像は「成長マインドを持ち、常に学ぶことができる人」。逆に「いつも指示待ちで、指示がきたらその通りちゃんと確実にできるという人や、自分が分からないことを周りに聞けない人は向いていない」(杉田氏)。

 およそ2カ月間、社員と一緒にどっぷり働き、最後に成果発表を行う。そこから採用につながるケースは少なくないという。同社ではインターンシップの報酬として1カ月当たり35万円とタブレットPCのサーフェスも支給している。

現在のインターンシップは、「青田買い」の場になってしまっているのか就活生の間で評価が高いLINEのインターンシップ。まるで新卒社員のように現場で働くことができる

 LINEのエンジニアのインターンシップも就業型・有償型で、期間は5週間。総額50万円の報酬が支払われる。他社と比べて高いように感じるが、前出の青田氏は「他社を意識して高くしているわけではない」と説明する。

「当社のインターンシップの報酬は、新卒の初任給の水準とほぼ同じ。実際、新卒と同じように働いてもらっている」(青田氏)。同社のインターンシップは、基本的に実務に入ってその中でアウトプットを出していくスタイルで、学生の間では「LINEのインターンに行けたらすごい」と評価も高いようだ。それだけに選考の倍率は相当高い。

 19年夏のインターンシップでは、約70人の定員に対して3500人の応募があった。選考プロセスは本選考とほぼ変わらず、エンジニア職はコーディングテストと面接、その他の職種は書類選考と課題を与えて評価する選考を行っている。「非常にレベルの高い人が応募してくれた」と同社新卒採用チームの横山知可マネージャーは手応えを感じている。

 同社の場合、基本的にインターンシップと本選考は別という位置付けだが、結果的に新卒採用の約2割がインターンシップ参加者となっている。