――社員にやりたいことをやらせて何でもオープンにしている会社のほうが、外から見ても好感が持てます。

ソニーもそうですよね。ソニーの社員の正能茉優さんというとても活躍されている方がいるんですが、別の会社も経営していてメディアにもよく出ているので、正能茉優さん用のPRのレギュレーションがあるそうなんですよ。それって、すごく面白い取り組みだなと思っていて。ソニーみたいな大企業ですら「社員が発信する前提」でルールを作っているわけです。本来であれば、企業にとっても情報をオープンにすることに、デメリットはないはずなんですよね。

情報を隠して優位性を守ろうとする人たち

それでも、社員のSNS利用を禁止したり、社内情報を隠そうとする人が、保守的な会社の役員クラスの人たちに少なからず存在すると感じています。そういう人たちは、自分たちが持っている情報をクローズドにしておくことで、優位性を保ちたいんですよ。本当は情報をオープンにしたほうが、世の中全体にとってはメリットのほうが多いんですが、そうなると困る既得権益を守りたい人たちがたくさんいる。だから、なかなか情報が広がらないのです。

でも世の中の流れは間違いなくオープネスに向かっていきます。アップル創業者のスティーブ・ジョブスは、iMacを作った時、内側に関係者の名前をすべて入れたというエピソードがあって。それって、すごくいい話ですよね。成功は関係者みんなのもの、という意味でそうしたのだと思いますが、顔や名前を出すからこそ中途半端なことができなくなる、という側面もありますから。