――企業と個人の間で情報が公開されてウソをつけなくなればなるほど、信頼関係が重要視されそうです。信頼と共感を集めることはビジネス(業績)にもつながるので、いかに企業としての開放性、透明性を高めるかの競争も出てきそうですね。

それはあるでしょうね。世の中の情報がすべてフラットになると、これまで企業の情報格差を利用して優位に立っていた上の立場の人たちも、フラットに闘わないといけなくなります。そうなることを恐れている「おじさん」たちもたくさんいると思うんですよ。情報をオープンにして信頼や共感を得るのは、上の世代より若い世代に得意な人が多いですから、普通に競争したら負ける可能性が高いと思います。

オープネスを成果につなげられるかは「人」にかかっている

でもつい先日、知り合いのある会社の社長が、「経営会議の内容を全部SNSでオープンにしちゃえば?」と言ったら、現場から反対の声が上がった、という話も聞いて、面白いなと思いました。オープネスをうまくビジネスにつなげていけるかどうかは、個人も企業も結局は「人」によるんでしょうね。

一方で、新刊の『OPENNESS 職場の「空気」が結果を決める』を出すきっかけとなった、オープンワークに寄せられた840万人の会社評価データは、実名で登録している社員や元社員が、匿名で投稿したクチコミです。これを「半実名」と呼んでいるんですが、そのように、顔を出さないけど、裏側に個人情報を取っているからこそ言える情報も確かにあって、それはそれでニーズがある大事な情報なんです。だから、どっちが良い悪いではなく、どちらも時代のオープネスを高めていく上では必要だし、これからも増えていくだろうと思っています。