1年で最も売れる「週刊ダイヤモンド」年末年始の恒例企画をオンラインで同時展開するスペシャル特集「総予測2020」。ダイヤモンド編集部が総力を挙げて、多くの識者や経営者に取材を敢行。「2020年の羅針盤」となる特集をお届けする。今回は、自動車業界の2020年予測記事をお届けする。(ダイヤモンド編集部副編集長 浅島亮子)
「日立とホンダの再編には続きがある」
自動車メーカー幹部がそう語る理由
「日立製作所とホンダによる傘下の部品統合は序章にすぎず、“続編”があるのでは――」。2019年10月末の再編劇を振り返り、ある自動車メーカー幹部はそう予告してみせた。
再編のスキームは、日立傘下の日立オートモティブシステムズとホンダ傘下の部品3社が統合し、その新会社に日立が66.6%、ホンダが33.4%出資するというもの。日立による事実上の買収である。
ホンダにとっては、半ばお荷物と化していた系列部品メーカーを切り離すことができたという意味で、積年の課題が一つ解決したといえそうだ。だが、一方の日立側に買収のうまみはあるのか。
日産自動車を主要顧客に持つ日立オートモティブシステムズと、ホンダを主要顧客に持つ部品3社が合流することで、新会社の売上高(合算ベース)は1.7兆円となる。それでも世界10位にも届かず、独ボッシュやデンソー、独コンチネンタルといった競合メガサプライヤーの背中は遠い。
解せないのは、脱・製造業モデルへの転換を急ぐ日立が、自動車のメガサプライヤーを目指しているとは考えにくいところだ。