男女の人気のズレがうかがえる2月1日入試
首都圏統一模試における志願状況を見ると、男子の7割、女子の5割が共学校だという。学校の選択において、親は校風や教育方針、通学利便性、中高一貫指導という点に関心を示すものの、受験生の関心は校舎・設備、クラブ活動、学校行事といった日々の学校生活に向いているようだ。
別学から共学化の流れは一息ついた状態だが、それでも2020年には2校が共学化する。
東京では小野学園女子(東京・品川区)が共学化し、品川翔英に校名を変更する。高校でラグビー部の監督を長く務めた現校長は9月に着任したばかり。前任は全寮制の海陽中等教育学校(愛知・蒲郡市)事務長だったが、それ以前には白梅学園清修中(東京・小平市)の設立も成し遂げており、満を持しての“出場”となる。まずはICT(情報通信技術)を活用しての数学と英語授業の個別最適化の実現など、学びの立て直しから取り組むことになりそうだ。
神奈川では女子校の聖ヨゼフ学園(横浜市鶴見区)がカトリック校としては珍しく共学化する。男子生徒の親への説明の丁寧さが好評で、模試でも志望校として挙げる動きが出ている。生徒募集は近隣からというのは大切な視点であり、先の品川翔英も湾岸エリアでの生徒募集に力を入れることになりそうだ。
共学校の人気上昇入試には男女差がかなり見られる。
2月1日で見ても、男女共に次ページの表に校名が挙がっているのは、三田国際、日本大学、桐光学園、帝京大、八王子学園、かえつ有明、東京電機大くらいで、微妙に人気校がずれている。男子で最も人気が上昇した東洋大学京浜(1回)の予想倍率は6.1倍、女子は日本大学(A1回)で5.7倍となっている。
他の入試日もそうだが、2020年入試では総じて日大系の人気が高い。大学の不祥事が中学区入試に波及したこともあったが、入試広報の積極化が功を奏しているようだ。
女子はすでに高止まりしているが、男子でも青山学院横浜英和の人気が上がっている。大学系列とはいえ、進学志向の帝京大は入ってから学力を伸ばしてくれる点で人気がある。成城学園は女子の人気が高い。
1日午後入試を見ると、男女共にけっこうなマンモス校の八王子学園では東大コースへの注目が高まっている。興味深いのは、女子の三田国際(算数)が3.5倍となっていること。算数が得意な女子にとって、1科入試は渡りに船のチャンスである。
穴場的な入試としては森村学園が挙げられる。女子は1日の1回が前年実績1.7倍から1.3倍に緩和、4日の3回は4.2倍から3.0倍になっている。他校に受験生を奪われている状況で、受けやすい。
他に女子では、1日の創価は3.0倍が2.1倍に、午後入試では湘南学園(A)が2.3倍から1.4倍へ、八雲学園(2回)は1.1倍から0.7倍へといずれも大きく下がっている。狙い目といえそうだ。