秋山豊寛、山崎直子、野口聡一、金井宣茂

 とはいえ、各々が宇宙飛行の前後で芽生えた感情、感慨を語る場面となると、不意に熱がこもってくる。日本人初の宇宙飛行士である元TBS記者・秋山豊寛は、宇宙ステーションで90分に一度やってくる夜明けの時をこう語る。

“「太陽が地表のすれすれを照らし出すとき、恐らく青い波長の光が最初に拡散して、次の赤い波長の光だけが最初に残っているんだと思うんだけれど、水平線というか地平線に当たる部分が本当に深紅に輝くんですよ。で、『あ、夜明けだ』と思った瞬間、深紅に染まった縁の部分が一気に真っ白になる。(略)本当に様々な色の全てが音になって、心地よい音楽のように自分の身体に入ってくるような気がしたんです」”

 また、2010年4月、国際宇宙ステーション(ISS)に15日間滞在した山崎直子は、宇宙空間に到達した時の心境を「すごくファミリア、懐かしい感じがした」と述べ、このように説明する。

“「私の身体も宇宙の欠片でできていて、この地球も宇宙の欠片、星の欠片であるわけですから、やはり『宇宙』というのは『故郷』と言って嘘ではないんだろうな、って」”

 うまく言い表しにくい、強い感情に揺さぶられている飛行士もいる。これまでに船外活動を3回、20時間近くISSの外に出ていた野口聡一は、自身に湧き起こった内的インパクトの意味を考え続けている。

“「ふと目の前にある地球が一個の生命体として――ある意味では自分と同じ生命体として――宇宙に存在しており、いまこうして僕らが話をしているように、そこに一対一のコミュニケーションが存在するかのような気持ちになったんです。(略)大きな物理法則に従いながら、ある一点で二人というか、その二つが共存しているという感覚があった」”

 逆に、予想していたよりも大きな体験ではなかった、地球の延長線上にある場所だったと淡泊に自己分析するのは、6カ月間ISSで活動した金井宣茂だ。彼は2、3日程度で無重力状態に適応し、日々のスケジュールに追われた。