「定期的に通っていたが、飽きてしまった」(40代・都内男性)という声もあり、減少した客足を取り戻せていない。「勢いに身を任せて、実態に見合わない出店を続けた結果だ」と、ある外食幹部は厳しい評価を下す。

 負の遺産は当然、業績にも重くのしかかる。新規出店が継続中であるため、19年12月期第3四半期決算は、前年同期比で売上高が15%増の518億円となったが、営業利益は同98%減の4400万円と惨憺たる状況だ。

 20年1月までに、全体の1割に当たる44店舗が閉店することを発表している。苦境から抜け出すにはしばらく時間がかかりそうだ。

 急失速は居酒屋チェーンの鳥貴族も同じだ。同社は18年1月以降、既存店売上高が19年10月まで、実に22カ月連続で前年同月割れ。「急速な出店によって、自社競合が発生しただけでなく、立地に見合わない出店も行ってしまっていた」と、大倉忠司社長は当時について反省する。

 では肉の需要それ自体が減少しているのかというと、少なくとも国内ではそうではない。

 ホットペッパーグルメ外食総研の調査によれば、焼き肉、ステーキ、ハンバーグなどの専業店の市場規模は右肩上がりで、18年度には4000億円を突破した。稲垣昌宏上席研究員は「12年2月ごろから肉の消費量が増加しており、今日に至っている」と解説する。