なぜか。まず、重要なタンパク源として、「肉は体にいい」との認識が高齢者に広がった。加えて、「17年ごろの低糖質ブームで、糖質制限中であっても、『肉なら食べてよい』という風潮が広がった」(稲垣氏)という意識の変化も起きている。
また、外食で肉を食べるスタイルの多様化もブームを後押しした。一人一台の無煙ロースターで焼き肉を楽しめる一人焼き肉専門店「焼肉ライク」は、18年8月に東京・新橋に1号店をオープンして以降、“お一人さま”需要をがっちりつかんだ。
焼肉ライクの親会社であるダイニングイノベーションの創業者は、牛角を運営するレインズインターナショナル元社長の西山知義氏だ。牛角で築き上げたノウハウを、一人焼き肉の舞台で発揮している。
他にも、ワンダイニングが運営する「ワンカルビ」は2時間食べ放題の焼き肉店で、年齢によって値段を7段階に設定することで支持を獲得。牛丼チェーン「松屋」を運営する松屋フーズも、ステーキの新業態「ステーキ屋松」を始めるなど、群雄割拠の様相は続く。
とはいえ、前出のホットペッパーグルメ外食総研の調査では、市場成長率は17年の前年比10%増に対して、18年は同5%増と伸びは鈍化している。
さらに、今回の特集でダイヤモンド編集部が実施した社長アンケートでは、多くの社長が20年のヒット商品として「人工肉」を予測した。

人工肉とは、牛や豚など家畜の肉に代わる製品として、人工的に本来の肉に近づけた加工食品だ。「豆腐ハンバーグ」のような大豆やエンドウ豆を原料とした植物性タンパク質由来のものと、動物の細胞を培養して作る培養肉の二つに大別される。