「無断発注は加盟店支援」と不可解な弁明
仕入れノルマが原因か

 最初のSVは交代したが、続いて担当した2人目のSVも無断発注をし、オーナーに対してこのことを認めた。オーナーは、SVの上司に当たる営業所長に事情を伝えたものの、十分な対応をしてもらえなかった。そこで、無断発注が何らかの犯罪に当たると考えたオーナーが19年夏、本部側に刑事告訴する可能性を伝えた。すると、本部の態度が一変。本部側は一連の行為を認めて“謝罪”した。

 営業所長のさらに上司に当たるその地域の統括部長がオーナーの元に駆けつけたのは19年7月。その後、9月までの複数回のやり取りで、統括部長は「SVから聞き取り調査をしたが、(無断発注は)あくまでオーナーへの支援のためだった。それでも結果的に不快感を与えたのでお詫びする」と告げた。同年12月になって1人目のSV本人もオーナーを訪れ、無断発注と青色伝票の無断利用を認めて謝罪したが、同様に「店舗に損害を与える意図はなかった」などと不可解な弁明を繰り返した。

 とはいえSVの一連の行為が加盟店支援に資するものではないことは明らかである。1人目のSVはオープン当初、1日の廃棄額を1万円に抑えるよう求めながら、自ら密かに無断発注をしていたのだから、そもそも行動が矛盾している。

 また、このオーナーの店舗は幹線道路沿いにあり、ドライバー客が多いため酒類の売り上げは少ない。にもかかわらず季節限定ビールなどを仕入れることは、客や店舗のニーズに合っていない。

 ファミマのあるベテランオーナーは、「本部がメーカーとタイアップした限定商品など本部が特に販売に力を入れたい商品は、『重点事前発注』と呼ばれ、期限内に仕入れるようSVから何度もしつこく求められる」と打ち明ける。