空腹状態が8時間続くと、体内のブドウ糖がなくなる。すると、肝臓で脂肪が分解されてケトン体ができ、主なエネルギー源となる。さらに、ケトン体はDNAに働きかけ、細胞の中のミトコンドリアのスイッチをオンにして、効率よくエネルギーを作り出すようになる。すると常に脂肪を燃やしやすく、太りにくい体になるというわけだ。

「断食は、このように痩せ体質へのスイッチを入れるだけではなく、若返り効果も期待できます。金沢医科大学・古家大祐教授の実験では、48時間の断食によってサーチュイン遺伝子という若返りの遺伝子が活性化し、そこから作られるサーチュイン酵素が2~4倍になったという結果が得られました。カロリー制限を7週間継続する実験においても、サーチュイン遺伝子は活性化しました。断食やカロリー制限が、若返りの遺伝子を呼び起こしてくれるのです」

「週1」「夜だけ」の
断食も効果あり

 毎日カロリー制限をした場合と、週1回、半日断食をした場合とでは、後者の1週間の総摂取カロリーが前者の3倍あっても、ケトン体の値に大きな差は見られなかったという実験結果もあるという。

 毎日過度なカロリー制限をすると、筋肉量が減って不健康な痩せ方になるおそれがあるので注意が必要だ。一方で、断食も医師の監修がない場合には半日から1日にとどめるのが望ましい。工藤医師は、どれか1食だけを抜く場合は「夜だけ断食」を推奨している。

「摂取した糖を脂肪に変える『ビーマルワン』という時計遺伝子があって、これが活発に働く20時以降に食事を取ると、太りやすくなります。逆に言えば、昼間はビーマルワンの動きが鈍るので、しっかり食べても脂肪がつきにくいため、夜に断食するのが効率的です。消化器官に食べ物が入ったまま寝ると、血流が全身に行き渡らず疲れが取れません。胃が空のまま寝るというのは、実はものすごく大事なことなんです」

 睡眠不足になると、食欲を増進させるホルモン「グレリン」が過剰に分泌され、翌日過食しやすくなるそうだ。不眠はダイエットの敵と心得て、消化器官を休ませてあげるのがベストだろう。また、断食中口にしてよいのは、水やお茶など糖分の入っていない飲み物で、とりわけ体温に近い温度の白湯は臓器に負担をかけにくいという。それでも物足りないときには、だしのうまみが救世主になってくれるはずだ。