1万人を超えるリーダーは、「同じこと」に悩んでいた。
本連載は、1万人を超えるリーダーから寄せられた「悩み」に対し、明確な答えを提示するものだ。
著者は、日本最高峰のビジネススクール「経営アカデミー」で19年以上の登壇実績を誇り、経営者や企業幹部を指導してきた浅井浩一氏。全国で年間100回以上の研修や講演を行い、コンサルタントとしても現場に入り込む。
「離職率を抑え、メンタルを病む人をゼロにし、なおかつ目標を達成し続ける」ために、リーダーとともに考え、行動し、悩みの解決を図る。業種・業態を問わず、職場再建率は100%。これまで指導してきたリーダーの数は1万人を超える。近著に『1万人のリーダーが悩んでいること』がある。

「できる人」「できない人」の二極化が激しい職場の末路Photo: Adobe Stock

【悩み】そもそも、なぜ助け合う必要があるんですか?

 プレッシャーをかけてひとりひとりのスキルを磨き、とことん「個の力」で戦わせたほうがトータルの成果が高まるのであれば、たしかに「助け合い」はいらないでしょう。

 ひとりひとりの机をパーティションで仕切って集中できる環境を整え、個の業績を重視し、見込み違いだった人には辞めてもらう。これが最善の組織だったら、助け合いはいりません。

 しかし多くの会社で「助け合い」を是としているのは、助け合ったほうが成果があがることが明白だからです。

 助け合っているのに成果が出ないのだとしたら、それは「助け合いという活動に効果がない」のではなく、単に「助け合いの質が悪い」だけです。

二極化が激しい職場の特徴

 助け合いが行われていなかったり、助け合いの質が悪かったりする職場には、「成果が出せている人」と「出せていない人」の二極化が激しいという特徴があります。

 優秀なメンバーは優秀さを保持し、ノウハウを囲い込む。成果が出せていないメンバーは、優秀なメンバーの助けを借りられず、成長のきっかけが「自助努力」に限られる。

 ノウハウを共有したり、アドバイスを受けたりするチャンスがないまま、優秀になる機会を与えられず、停滞したままくすぶる。これが二極化の原因です。

 なまじチームとして目標を達成できていると、この不幸は長く続きます。目標は達成できているわけですから、リーダーは現状に問題意識を持ちにくい。

 そして優秀なメンバーも、「業績の悪い奴らがチームの足を引っ張っているけど、自分たちの力でなんとかチームを目標達成に導いた。自分たちはすごい」としか思いません。現状を変えるきっかけが生まれにくいのです。

 しかしこのようなチームは、成功ノウハウを共有し、アドバイスを与え合い、助け合っているチームに決して勝てません。そのうえ常に、優秀なメンバーが転職や独立で退職し、ガクンと業績を落とすというリスクがつきまといます。

 優秀なメンバーの意識を変え、助け合う組織にするには何が必要か。答えは至ってシンプル。そう、「報酬」です。