公営ガス最大手の仙台市ガス局が民営化されることになった。地元の東北電力に加え、石油元売り最大手のJXTGホールディングスやオリックスといったビックネームが譲渡先の候補として上がっている。東北でのビジネスチャンスを懸けた争奪戦を制したとしても、“負の遺産”を背負うことになる。(ダイヤモンド編集部 堀内 亮)
2009年は単独候補が辞退し頓挫
今回は複数候補が名乗りを挙げる理由とは
11年前の2009年1月、仙台市にある東北電力本店に東京ガスの広瀬道明常務執行役員(現会長)の姿があった。
ここで東北電と共に記者会見に臨んだ広瀬氏は「経済状況の激変で事業の将来性が見込めなくなり、価格を提示できなくなった」と語った。仙台市の公営ガス事業の継承を辞退する弁だった。
仙台市は行財政改革の一環でガス局の民営化を目指した。07年に民営化の方針を決定し、08年に公募して東北電、東ガス、石油資源開発(JAPEX)の3社連合が唯一名乗りを挙げた。
しかし、08年のリーマンショックの影響に加え、仙台市側との交渉で譲渡価格や条件に折り合いがつかなかった3社連合は事業継承を辞退。民営化は頓挫した。
10年を経て、仙台市は再びガス局の民営化の方針を打ち出し、有識者委員会での議論を経て19年12月に民営化計画を策定した。
仙台市の計画では、20年度に公募を開始し、22年度に民営化がスタートする運びだ。