たとえば、顧客であるコンビニエンスストアの一社は、会社として大切にしていることとして「品揃え」「鮮度管理」「クリンリネス(清潔さの確保)」「フレンドリーサービス」の四原則を掲げています。大きくいえば、これに則った商品提案が「顧客のニーズを考えた営業活動」です。

 しかし、同じチェーンのコンビニエンスストアの品揃えが全店舗同じかといえば、そうではありません。店長やオーナーの考え方によって変わってきます。そのため食品メーカーの営業マンには、店舗ごとの品揃え方針を確認し、その方針に沿って提案することが求められます。

 これが、営業所長の語る「目的意識」だったのです。

丁寧に「問い」を立てる

 営業所長が語る「目的意識」を聞いた私は、彼に尋ねました。

「年上の部下である営業マンに、『今日訪問するコンビニエンスストアの品揃え方針と提案内容を教えて』と具体的に問いかけたことはありますか?」

「……ありません」と営業所長は答えました。

「目的意識を持って活動しろと言っているのに、年上の部下は一向に自分の期待にそう行動を起こしてくれない」と愚痴をこぼす。「今度はもっと強い口調で『目的意識を持って行動しろ』と言わなければ」と怒りを増幅させる。生産的とはいえません。

 リーダーがすべきは「注意する口調を強めること」ではありません。「目的意識」を持ってほしいのならば、効果的な「問い」を立てる必要があります。

 次のように効果的な「問い」を立て、行動を促しましょう。