首都圏「公立中高一貫校」の最新情勢、出願状況から分析【2020年入試版】公立一貫校では一番の難関校となった「小石川」

志願者数が減った学校、増えた学校 

 2020年は平均志願者倍率が6倍を切った点が最大の特徴だ。2019年には一般枠で7倍超だった白鷗など6校あった6倍台以上が、2020年には両国と白鷗の2校だけで、5倍台が中心となった。もはや私立大付属の中位校と倍率では同レベルになっている。

 2019年には小石川と三鷹の2校の志願者数が1000人を超えていたが、2020年は1000人超えは皆無となった。

 私立校志望者ほどには進学実績が重要な指標にはならない傾向もうかがえる。2018年と比較した国公立合格者数を見ると、武蔵は89人(+12人)で現役合格も8人増、東大は5人減だが一橋7人増、東工大5人増となっている。大泉は2017年が良過ぎて若干名減少したもののほぼ横ばい。

 一方の小石川は、東大現役合格者が11人から15人と大幅増、国公立大合計も92人で、うち現役合格74人と、中等教育学校になってから最高の合格実績となっている。それにもかかわらず、2020年は志願者数が男子で72人減、女子78人減と男女ともに大幅に減少した唯一の都立一貫校となっている。

 中学からの内進生に授業でついていけないことなどもあって、高校での志願者数が低調な併設型の5校について、高校での生徒募集を順次停止することになった。富士と武蔵が2021年、両国と大泉が2022年から中学のみの募集となる。中高の校舎が分かれている白鷗は校舎整備の必要もあって少し遅れる見込みだ。

 65人分ある特別枠や海外帰国・在京外国人生徒枠を含め、都立10校の募集定員は合計1440人。併設型5校の2020年の募集人員枠が390人分あり、この分が丸ごと中学での募集枠になると、中規模の私立中学2校分に相当するだけに、この先波乱要因となりそうだ。

 前置きが長くなったが、次ページで首都圏1都3県の公立中高一貫校の志願状況を見てみよう。