後期高齢者1人当たりの外来受診率は後期高齢者以外の2.4倍であり、今後、後期高齢者の激増が見込まれることを考えると、後期高齢者の窓口負担割合の問題は重要なテーマである。

 ただ、膨張していく医療費をどう国民全体で負担していくかという問題は、一部の後期高齢者の自己負担増だけで解決できるものではない。

民主党政権下でのアイデア
安倍政権で先送り続く

 中間報告では、後述するように、紹介状なしで大きな病院に外来受診する場合の患者負担増については具体的に示されたが、本来の外来受診時の定額負担については、ほとんど何も触れられていない。つまり、結論が先送りされている。

 日本では国民全体で年間21億回の外来受診をしており、これは1人当たり平均でフランスの約2倍、スウェーデンの約4倍の頻度だ。

 軽い症状のうちに受診することで重症化を防ぐことは重要である。だが、同時に、普段からの健康管理の意識やセルフメディケーション(自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること)の考え方を十分に普及させる取り組みがないと、不要不急の受診までもが不当に広がってしまうことになる。

 限られた医療資源を効率的に利用するという観点からも、必要性のないケースなど、無制限に受診を続けることに適切な歯止めをかける必要がある。

 外来受診時に少額の定額負担を求める考え方は、突然に降って湧いたわけではない。かつて民主党政権の下で進められた、2012年の社会保障・税一体改革の中でも、給付を重点化するために受診時定額負担が提案された。

 そのときには、例えば1回の受診につき、従来の定率での自己負担に加えて「100円の定額負担」を設定し、それを財源に高額療養費制度を充実させることが検討された。

 高額療養費制度とは、個人の医療費が高額となった場合に自己負担が青天井にならないよう、患者の負担額に上限を設け、それを超えた分は保険給付される仕組みである。

 つまり、軽い疾病(低額の医療サービス)に対する自己負担を少しだけ増やし、それを重い疾病や長期の治療を必要とする疾病の負担軽減に充てるというアイデアだ。

 国民全体として見れば自己負担が増えるということではなかったが、受診時定額負担は必要な受診を抑制しかねないといった反対が強く、論点から早々に姿を消した。