飲み会を「愚痴」で終わらせない秘訣

もうひとつ、懇親会支援制度というのもあります。ざっくり言うと飲み会の支援ですね。月1回、部署で行くことを条件に1人5000円出すので、年間一人6万円を社員の人数分出しています。これも、2003年の人事改革のときに導入した制度です。

翌月に持ち越しができないので、毎月みんな飲みに行ってますね(笑)。この制度を活用することで、仕事以外の共通項が増えるのがすごく大きいんです。仕事以外のことを話せる人がいると、「心理的安全性」が高まります。人は安心できてはじめて「挑戦してみよう」と思う。安心と挑戦はセットなんですよ。結果、新規事業を含めた挑戦も増えていくわけです。

北野 職場の人との飲み会は、愚痴や不満が出てきたり、先輩や上司から説教されるから嫌という若い世代もいます。それだとむしろ逆効果になりますが、関係性を良くするために気をつけていることは何かあるんでしょうか?

曽山 サイバーエージェントの根底にあるのは「褒め」の文化なんです。社員ひとりひとりに光を当てたいという考えがあって、表彰も大事にしているので、毎月月末にほぼすべての部署で表彰があります。全社機能(他社における管理部門)も、100人いるうちの毎月7-8人くらいに表彰状を渡しているんです。

職場の飲み会は月末ギリギリにやる部署が多いので、だいたいみんな褒められた後に飲みにいってるんです。そうすると、「おめでとう!」「よかったな」という褒めと飲みがセットになる(笑)。その相乗効果で、チームの結束力が強くなるというのはありますね。

1対1の面談も、マネジャーのキャラクターによって厳しいスタイルと優しいスタイルの違いは多少あるとは思いますが、基本的には褒める前提でやっているので、ネガティブな話題にはなりにくいですね。

成果を測るには、「目標設定」が不可欠

北野 面白いですね。つまり、飲み会の前に「褒めるための材料」を準備していおく、と。ただ、毎月のように表彰していると、慣れてしまってシラケてしまう人も出てくると思うんですが、そうならないために工夫していることはありますか?

曽山 基本的に、どんな部署でも定量的な「成果」でちゃんと評価することですね。そうすれば誰がみても、「この月にあの人は成果を出した」という納得感を持てます。そのために最も重要なのが、目標設定を行うこと。目標がなければ、成果が何かもわかりませんから。