「週刊少年ジャンプ」での連載開始から30周年を迎えた『花の慶次―雲のかなたに―』。四半世紀以上たった今でも愛される理由は何か?『週刊ダイヤモンド』2月15日号(2月10日〈月〉発売)の第1特集「世界史でわかる日本史」で掲載した作者の原哲夫氏へのインタビュー記事に、誌面の都合上、掲載できなかった内容を加え、「ノーカット完全版」をお届けする。(ダイヤモンド編集部編集委員/クリエーティブディレクター 長谷川幸光)

花の慶次はつねに
苦しみながら描いていた

原哲夫さんはら・てつお/漫画家。コアミックス取締役、ノース・スターズ・ピクチャーズ取締役。東京都生まれ。高橋よしひろ氏のアシスタントを経てデビュー。「週刊少年ジャンプ」に連載した『北斗の拳』が大ヒット。現在は「月刊コミックゼノン」に『いくさの子―織田三郎信長伝―』を連載中 Photo by Yukari Morishita

――『花の慶次─雲のかなたに─』(1990~93年)が今でも人気の理由は何だと思いますか?

「週刊少年ジャンプ」の連載時はそこまで人気はなかったんですよ。『北斗の拳』(83~88年)は大ヒットしましたが、それと比べると全然。常に連載終了候補でした。

 時代劇というのは子供向けにはちょっと地味でしたね。それが連載終了から15年ほどたって、コミックが急に売れだしました。ゲーム等で名シーンが映像になったことが大きいようです。これまでに累計1800万部超を発行することができました。

――人気が再燃するにしても、コンテンツ自体の魅力があればこそではないでしょうか?

 ただの娯楽や暴力を描くだけではなく、「こういうふうに生きると格好いいよね」というものをしっかりと提案していく、そうしたコンセプトがありました。

 僕は漫画で育ったので、漫画の情報が実生活にもとても役立ちました。ジャンプを読む子供たちにとっても、楽しめるだけでなく、生きる上での糧になる、そのような漫画を目指したのです。たとえ子供のときに直接響かなくても、大人になってからじわじわ響いてくるのではないでしょうか。