日常でもビジネスでも何が起こるか分からない。このような時代を乗り越える唯一の手段が「歴史」です。時代も登場人物も違えばまったく同じ歴史をたどることはありません。でも似たことはこれまで何度も起こっています。それならば歴史に学ばない手はありません。
『週刊ダイヤモンド』2月15日号(2月10日月曜日より順次発売)の第1特集は「世界史でわかる日本史」です。
日本は独自に歴史を積み重ねてきたわけではなく、直接的にも間接的にも世界と連動しています。「日本史」含むたくさんの歯車が機能することで「世界史」というシステムが動いているのです。逆もまた然り。一部分だけ切り取っても全体を理解することはできません。世界史と日本史を同時に学ぶことで、歴史の学び方・楽しみ方は無限に広がります。
ここでは、特集内から「スペイン風邪とインフルエンザの歴史」を抜粋して紹介します。
世界の人口の約50%が感染した
「スペイン風邪」とは?

新型コロナウイルスが猛威を振るっている。世界保健機関(WHO)は、肺炎の感染拡大に対処するとして「緊急事態」を宣言した。今のところ治療法もワクチンもなく、中国に拠点を持つ日本企業は緊急体制に入っている。
感染が短期間で世界的に拡大し、多数の人々が年齢を問わず感染する「パンデミック」。人類はこれまで何度もこうした状況を経験してきた。
近現代においてその中で最も世界を脅かしたものは、「スペイン風邪」だろう。インフルエンザの一種であり、第1次世界大戦のさなかに瞬く間に世界中に広がった。20世紀初頭は「ウイルス」という概念がまだ新しく、抗生物質も発見されていない。手洗いやうがい、患者の隔離といったことしか手だてがなかった。