最近のテレビのニュースはロンドン五輪と国内政局が二本柱。もちろん視聴者の関心はオリンピックが政局を圧倒している。
2つのニュースは、視聴者に全く正反対の印象を与え続けている。日本選手の大活躍による爽快感とどっちもどっちの与野党攻防のうっとうしさ。この落差はますます拡大するばかりだ。
個人より「チーム」で力を発揮
オリンピックで見せた日本の活躍
今回のオリンピックで際立っているのは日本の“チーム力”。おそらく今年の流行語大賞になるだろう。
実際、日本選手は、個人で競うよりチームで競うときに真価を発揮している。実力以上の成果を挙げていると言ってもよい。
サッカーの決勝トーナメントは今たけなわだが、男女ともに日本チームはその典型だ。個人プレーよりチームプレーを優先していることが勝利につながっている。
競泳の男女メドレーにも同じことを感じた。それぞれが実力以上の力を出し切ったことはレース後の歓び方を見ればよくわかる。
“チーム力”は、良き指導者とメンバーの自発性が共に備わったときに倍増するのではないか。かつて野球のWBCの優勝のときもそう思われた。
良き指導者は技術面に加えて尊敬できる人。連れていく指導者というより、ついていける指導者。競泳メドレーで活躍した北島、寺川両選手、サッカーの吉田(麻也)選手などは実質的にそんな役割を果たしたのだろう。どんなことでもそうだが、自発性は個人の力を最大限に発揮させるものだ。
柔道など一部の競技では意外な不振に見舞われた。さまざまな理由が重なり合っているのだろうが、やはり“チーム力”に欠けるところがあったのではないか。その競技を支える組織や団体を再点検する必要もあろう。“銀”でも“銅”でも立派な成果なのになぜあれほど卑下しなければならないのか。選手たちが気の毒に思えてくる。