2つ目が、コンビニなどの異業他社の台頭だ。近年コンビニパンの品質が格段に向上したうえ、セブン-イレブンが展開する「金の食パン」のようなプレミアムパンは、コンビニで買い物する際、ついでに購入できる気軽さとおいしさが受け、既存のパン屋から着実に客を奪っている。

 3つ目が、人件費や原材料費の高騰、そして固定費負担の増加による採算の悪化だ。人手不足で人件費が高騰してアルバイトなどを雇えず、さらに原材料費が高騰しても地元密着店舗では、客を思ってなかなか値上げに踏み切れないケースもある。

 4つ目が、薄利多売のビジネスモデル。パンはもともと利益率が低く、多品種大量生産をすることで、なんとか売り上げを維持してきた。しかし、売れ残りが出てしまうのが現実で、「商品の10~20%が廃棄される店舗もある」(冷凍パン宅配サービスを展開するパンフォーユー・矢野健太代表)など、多品種大量生産のデメリットも大きい。

 そして5つ目が、店主など代表者の病気や死去で事業を続けられないケースだ。帝国データバンクのデータ(2017年度)によると、パン製造小売業者は売上高1億円未満の小規模事業者が全体の61.9%を占めており、家族経営の店舗も多い。しかし、後継者となるような子どもは地元を離れていたり、別の仕事をしていたりと後継者不在は深刻だ。そうなると、高齢の店主と妻がパン製造と販売という2つの重労働を続けるのが難しくなり、廃業の道をたどることになる。

「2019年の倒産企業のうち、創業3年未満は10%弱で、30年以上が35%以上」(伊佐氏)であることからも、長年パン屋を続けてきた店主の高年齢化や後継者不足が倒産や廃業に大きく関係していると考えられる。

 そんな店主の高齢化などによって廃業直前に至っていたり、1人での重労働で追い込まれたりしていたパン屋が群馬県にあった。

重労働を強いられるパン屋の現実
高齢化、1人で営業が重い負担に

 群馬県東部の街、桐生市にある「アン・フルーレ」の赤石清安さんがパン屋を開いたのは、およそ22年前。毎朝6時前には起床して店に入り、夜8時までパンを焼く日々を続けてきた。その後、体力などの問題から2011年からは土日営業のみに。とはいえ、土日以外も営業日のためにパンの仕込みをしていたそうだ。