中国で同じことが起きたとすると、日本の対中輸出は激減して輸出企業が生産を絞り、リストラにつながるかもしれない。しかし、それだけである。中国で信用収縮が生じたとしても、それは人民元というローカル通貨の話であり、基軸通貨である米ドルが世界的に不足して世界経済に大打撃を与えたリーマンショックとは事情が異なる。
加えて、リーマンショック時には米国の金融緩和でドル安円高となったことも日本の輸出企業の打撃になったが、中国が金融緩和をして人民元の金利が下がっても、人民元安になるとは限らないし、なったとしても日本の輸出企業への影響は軽微であろう。
日本の景気が変動しにくくなっている
少子高齢化によって、日本経済には、景気の波を小さくする力が二つ働いている。一つは労働力不足であり、もう一つは高齢者の消費の安定性である。
少子高齢化で労働力不足になっているので、製造業がリストラをしても失業した人が次の仕事を見つけることができる。したがって、「失業して所得が無いから消費をしない」という人が出てきにくいのである。
高齢者は所得が安定しているので、消費も安定している。したがって、消費者に占める高齢者の比率が上昇すると、消費が安定する。高齢者のための仕事をしている人の収入も安定しているので、彼らの消費も安定している事実も忘れてはなるまい。
したがって、仮にリーマンショックと同じことが起きても、日本の景気の後退は当時より遥かに小さなものとなろう。
日本の景気が変動しにくくなっているのは非常に重要な話であるので、次回の拙稿にて詳しく述べたいと思う。