初期設定の「テキストボックス」は消去する

 実は、私は、パワポを立ち上げて、スライドサイズを設定する前に、真っ先に行うことがあります。初期設定されている「テキストボックス」(「タイトルを入力」「サブタイトルを入力」と表示されているボックス)はすべて消去するのです。意外と思われるかもしれませんが、私にとって、効率的に作業を進めるために必須のプロセスです。

 というのは、下図のように、「タイトルを入力」と表示されているテキストボックスは、行設定が「左右中央揃え」「下揃え」になっているため、非常に使い勝手が悪いからです。それよりも、自分でテキストボックスを新たに立ち上げて、入力をしたほうがスムースに作業を進められます。

「プレゼン資料のプロ」が、パワーポイントを立ち上げて最初にする「意外なこと」とは?

 初期設定のテキストボックスを消去するには、ショートカットキー[Ctrl+A]で全選択したうえで消去(delete)します。あるいは、マウスの「左ボタン」を押しながらカーソルを移動(ドラッグ)させて、2つのテキストボックスを選択したうえで消去してもいいでしょう。

 また、パワーポイントの「デザイン」タブでは、さまざまな背景デザインを選択できるようになっていますが、ビジネス・プレゼンでは「ノイズ」になるだけですので、この機能は基本的に使わないほうがよいでしょう。

 ビジネス・プレゼンは「見やすく」「わかりやすい」ことが最も大切ですから、白地のスライドに情報をできるだけ大きく表示することを最優先にしてください。

「プレゼン資料のプロ」が、パワーポイントを立ち上げて最初にする「意外なこと」とは?
前田鎌利(まえだ・かまり)
1973年福井県生まれ。東京学芸大学卒業後、光通信に就職。「飛び込み営業」の経験を積む。2000年にジェイフォンに転職して以降、ボーダフォン、ソフトバンクモバイル株式会社(現ソフトバンク株式会社)と17年にわたり移動体通信事業に従事。営業プレゼンはもちろん、代理店向け営業方針説明会、経営戦略部門において中長期計画の策定、渉外部門にて意見書の作成など幅広く担当する。
2010年にソフトバンクグループの後継者育成機関であるソフトバンクアカデミア第1期生に選考され、事業プレゼンで第1位を獲得。孫正義社長に直接プレゼンして数多くの事業提案を承認されたほか、孫社長が行うプレゼン資料の作成も多数担当した。ソフトバンク子会社の社外取締役や、ソフトバンク社内認定講師(プレゼンテーション)として活躍したのち、2013年12月にソフトバンクを退社。独立後、『社内プレゼンの資料作成術』『社外プレゼンの資料作成術』『プレゼン資料のデザイン図鑑』(ダイヤモンド社)を刊行して、ビジネス・プレゼンの定番書としてベストセラーとなる。
2016年株式会社固を設立。ソフトバンク、ヤフーをはじめとする通信各社、株式会社ベネッセコーポレーションなどの教育関係企業・団体のほか、鉄道事業者、総合商社、自動車メーカー、飲料メーカー、医療研究・開発・製造会社など、多方面にわたり年間200社を超える企業においてプレゼン研修・講演、資料作成、コンサルティングなどを行う。プレゼンテーション協会代表理事、サイバー大学客員講師なども務める。