感染拡大に
歯止めがかからない韓国

 2月下旬以降、大邱市を中心に韓国で新型肺炎の感染者数が急増している。大邱市では病床が不足していると報じられている。それを受け、世論調査の一部では文大統領への支持率が低下している。

 感染拡大を受け、韓国の消費、生産などにも支障が広がっている。日米などが韓国への渡航中止を勧告したことなどを受け、観光産業は大打撃を受けている。また、現代自動車では従業員が肺炎に感染しSUV生産が再度の一時停止に追い込まれた。

 懸念されるのは、サムスン電子の半導体生産の状況だ。通常、半導体の製造工程は24時間、365日稼働している。機器の入れ替えなどがない限り、半導体の製造工程を止めることはできない。一度、工程が止まると、求められた半導体の品質を実現するために、材料の投入量などを細心の注意を払って調整しなければならない。

 工程を止めるにはかなりのコストが伴う。通常稼働に戻るまでには数カ月程度を要すると指摘する専門家は多い。昨年7月、わが国が韓国への半導体材料などの輸出手続きを厳格化し、韓国がわが国を強く批判した裏側には、半導体の生産が止まると経済活動に重大な制約が発生するとの危機感があったとみられる。

 ただ、文政権の感染症対策を見ていると、サムスン電子をはじめとする企業の活動に支障が生じることが懸念される。すでに、中国、米国などで人の移動が大きく制限され、韓国内外で個人消費や企業業績への懸念は高まっている。それは、エレクトロニクス製品などに用いられる半導体需要の低下につながるだろう。

 韓国国内での新型肺炎の感染がさらに拡大し、万が一にも半導体生産に支障が生じる事態が現実のものとなれば、韓国の経済・社会はかなり混乱するはずだ。3月2日には北朝鮮がミサイルを発射し、文大統領への非難を表明した。制裁による経済の疲弊や新型肺炎に対応するために、北朝鮮は何とかして米国の関心を引き付けようと必死だ。新型肺炎の感染拡大とともに、文政権のレームダック化がこれまで以上に鮮明化したように見える。