後悔しない就活のために
できることとは

 まとめると、今回、不幸にも新型コロナ騒動によってリアルな接点を失いつつある就活生は、決め手を失い、意思決定が難しくなるだけでなく、入社後のイメージギャップを抱きやすくなるということだ。そして、その影響は入社直後だけでなく、数年間引きずる可能性がある。オンライン採用では補填できる機能と、そうでない機能があるのだ。

 リアルな接点を欠くことで、その後の人生に影を落とさないために何ができるだろうか。答えはシンプルだ。学生はオンラインによる情報収集はもちろん、人との接点に関しても限られた機会を最大化して確保するべきだ。「今年は特殊だから……」と手を緩めてしまうと、今後の数年間が影響を受ける。出遅れた学生ほどこうした緊急時に足が止まりがちだが、「決め手に欠く」状態で最も悩むのは本人だ。むろん感染予防と健康管理は確実にしつつ、焦らず着実に、人と出会う機会を確保してほしい。

 また騒動が収束さえすれば、内定を獲得した後でも遅くない。社員や内定者と直接話す機会があれば、内定後だろうと、予期的社会化が進むことは研究でも明らかになっている。幸い今は売り手市場で、企業も内定者フォローに積極的だ。入社後に関係する社員を紹介してくれる可能性は高い。

 就活は、「内定を獲得するもの」でも、「入社先を決めるもの」でもない。学生から社会人へのスムーズで幸せなトランジションを実現するものだ。人生にほとんど1回しかないトランジションのタイミングをウイルスという不運によって台無しにすることのないよう、予防を怠らずに取り組んでほしい。