幸せな夫婦生活の鍵を握るのが「お金の見える化」
でも結婚して夫婦となった以上は、心と体のズボンと一緒にお金にはかせたズボンも潔く脱いでください。お金に目隠しをして見えなくする(ズボンをはかせる)と、「何か隠しているのかな?」と、余計な心配を与えかねません。奥さまが言うように、給与明細を見せ合うほうがよいのです。
私が銀行員だった頃、給与明細を見せずに生活費だけを奥さまに渡している人が大勢いました。残ったお金は好きに使えますが、使途不明金は大概にしてよからぬことに使われます。そんなお金の隠し事は信頼関係を徐々にむしばんでいく。夫婦円満のためにも、包み隠さずオープンにしたほうが幸せになれるのです。
たとえばSさん夫妻は一目ぼれで恋に落ち、Sさんのアパートでの同居生活からスタートしたので、Sさんには通帳や給与明細を隠す暇がありませんでした。「しくじった!」と最初は後悔したのですが、それが、Sさんに幸いしたのです。
お互いの資産も収入も最初からオープンでしたから、二人には疑心暗鬼に陥る余地がありません。100歳まで長生きしても大丈夫なくらいお金も貯まり、数十年たった今でも新婚夫婦のように仲良く暮らしています。
このように、幸せな夫婦生活の鍵を握るのが「お金の見える化」です。収入全体を「見える化」するだけで、家計の収支がプラスとなりお金を簡単に増やせるし、幸せな人生を設計できるようになるのです。
そんな背景から家庭裁判所の実務上も、結婚後に作られた財産は夫婦が協力して作ったものだから夫婦の共有財産だ、という考え方で運営されています(夫婦財産制)。
ただし、夫婦財産制を盾に、相手のお金のズボンを無理やり脱がせてはいけません。ズボンは脱がせるものではなく、自ら進んで脱ぐものです。
だからまずは、自分のお金にはかせたズボンから脱ぎましょう。人としての価値は収入だけでは測れないので、恥ずかしくなんてありません。おこづかいの使い道にはズボンをはかせて見えなくすればよいので、窮屈に感じることもありません。むしろ逆に、収入が夫婦合わせて2倍になれば、二人で一緒に上手に使えるので、ひと粒で2度おいしくなるのです。本書ではそんなおいしい秘訣を紹介していきます。