中国や周辺国で感染の拡大がピークを越えても、人の移動が回復するに従い、いったんは終息したと思われた国にも感染の再来も予想される。

 各国は人々の移動を制限し、学校を閉め、人が集う芸術・文化・スポーツの集いを自粛する。そうした期間が長引くほど、グローバリゼーションにより成長してきた経済は大きな打撃を受ける。

 中国の経済成長は大幅に減速するだろうし、先進国では軒並みマイナス成長になるだろう。

 石油輸出国機構(OPEC)やロシアなどの間での減産調整が合意できなかったことによる原油価格の急落もあって、世界経済の先行き不透明から、このところ世界の株式市場で株価下落が止まらない状況だ。

 経済が回復するのは感染症の終息が確実となった後になるだろうし、経済活動の停滞だけでなく、問題が長期化すれば、人の交流が途絶えるなかで、人間の社会的営みは希薄になる。国際協調や地域の助け合いといった概念は薄れるだろう。

 一方でネットの世界は拡がっているが、感染拡大により、殺伐としたやりどころのない疑心暗鬼や不信感、不安が、SNSを通じて増幅されている。

 もともとネットの世界は自己中心主義の傾向はあるにしても、このような心理は、国内政治を変え、国際関係を変える背景を織りなす。

 感染症拡大の危機に人々が求めがちなのは、知性や合理性ではなく一見強く見えるリーダーだ。

 先進民主主義国では、グローバル化の下、新興国の台頭や移民流入などで職を失ったり賃金が増えなかったりした人たちの不満の受け皿としてポピュリズムが強まってきたが、パンデミックによる国民の不安心理などがこれを加速し、排外主義にもなりかねない自国中心主義が強まる可能性がある。

 秋に大統領選挙がある米国では、アメリカ・ファーストを前面に掲げるトランプ大統領にとって再選に有利な環境が作られていくということかもしれない。

強権体制で感染封じ込めた中国
イメージ回復に反転攻勢

 先進民主主義国を中心に自国中心主義を生んでいくなかで、中国はどういう方向に向かうのだろうか。

 中国は新型コロナウイルスの感染拡大防止で初動を誤った。それは共産党体制の欠陥というべきものだ。

 新型ウイルスが発見された時点で、当局が、最初に感染症の存在を提起した医師の訴えを封じた言論封殺的行動にみられる情報統制や、地方政府は中央の指示がないと動かず、かつ習近平総書記に権力が集中する体制の下では迅速な対応ができなかった。