会長は外部から招聘へ
水面下で打診

 第三者委は関電の内向きな企業体質を是正する切り札として、社外から会長を招聘するよう提言した。

 業界関係者によると、関電側はすでに水面下では関電社外取締役の井上礼之・ダイキン工業会長や元経済産業事務次官の北畑隆生氏、そして前経団連会長の榊原定征氏に会長就任を打診している。が、現時点では決まっていない。

 外部から超大物経営者を招いただけでは、意味がない。東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故をきっかけに、事実上国有化されている東京電力ホールディングスを見れば、それは明らかだ。

 経営難にあった日立製作所をV字回復させた元日立製作所会長の川村隆氏は17年6月、三顧の礼をもって東電会長に迎えられた。しかし、大きな改革の成果を残せずに今期で退任する方針がほぼ固まっている。川村氏自身も「ステークホルダーが複雑すぎて、電力業界は難しい」と周囲に漏らしていた。

 川村氏ほどの名経営者ですら、大手電力会社を変革するのは至難の業だった。

 結局のところ、変わるかどうかは、関電自身にかかっている。森本新体制の最初の山場は、6月に控える株主総会である。ここで株主から信任を得るために、新体制としての成果物を出さなければならない。

 その舞台装置として新たに設けたのが、社長や副社長らで構成する経営刷新本部だ。審議内容について社外取締役を含む取締役会に報告した上で、第三者委の提言を盛り込んだ再発防止策をまとめ、改革をアピールするのが狙いだ。中途半端な再発防止策では、ステークホルダーからの信頼は得られないだろう。

 関電は大手電力会社の中でも原発依存度が高く、原発こそが収益の柱である。森本氏は「電源構成を変更する考えはない」と原発中心の会社運営を継続していく意向を就任会見で示した。

 原発の運営には立地自治体をはじめ社会からの理解が欠かせない。徹底的な再発防止と改革を実行しなければ、収益の柱である原発が崩れ、会社の存続すら危うくなる。