森本氏が原発マネー問題を公表すべきだと
声を上げた形跡はない

 第三者委の報告書は、原発マネー還流問題について、関電のガバナンスが著しく欠如していたことを厳しく非難。但木敬一委員長は会見で「ユーザーから自分たちの行為がどう見られるのか。全く考えていない」とあきれ返った。

関西電力、原発マネー問題の挽回担う新社長に社内外から失望の声原発マネー還流問題の調査結果を説明する第三者委員会の但木敬一委員長(右) Photo by Ryo Horiuchi

 そうした声を受けて、新経営陣をじっくり検討するというプロセスはなかったのである。

 もう一つの失望は、選出された森本氏本人に対するものだ。

 2018年1月末に原発マネー還流問題が発覚すると、関電は社内調査を実施して報告書をまとめた。岩根氏、前会長の八木誠氏、元会長で相談役の森詳介氏の3氏は、この報告書を外部に公表しないことを決定した。世間に知れ渡れば原発事業の運営が困難になるのを恐れ、隠蔽したのである。

 同年10月に実施された役員研修会で、原発マネー還流問題の概略が報告された。この役員研修会に森本氏は出席していた。詳細が説明されていないとはいえ、森本氏がこの研修会でこの問題をきちんと外に公表すべきだと声を上げた形跡は第三者委の報告書には見られなかった。

 つまり、森本氏自身も、第三者委が報告書で指摘する「身内に甘い脆弱なガバナンス意識」の持ち主ではないかという懸念が拭えない。

 こうした点を問われると、森本氏は「私は40年以上、関電で経験を積んできた。二度とこういうことを起こしてはいけないと改めて感じた。再発防止に努めることで、評価をしっかりいただけるよう取り組みたい」と弁明した。

 森本氏は営業・企画畑が長く、電力業界関係者によれば、手堅さや安定感に定評がある。大手電力会社で、出世する典型的な経歴とキャラクターを持つ電力マンだ。

 それをもってトップの資質を否定するものではない。ただし、第三者委が糾弾した「関西電力にはびこる内向きの企業体質」を変える変革者としての実績があるかについては、過去を振り返る限りでは、うかがえない。