経済学はそもそも「経世済民」ということで、本来は国民のための学問である。その経済学において、「負の外部性」という言葉がある。これは「他の経済主体にとって不利に働く場合の外部性」とされる。

 では、外部性とは何か。「ある経済主体の行動が、第三者に何らかの影響を与える場合、その行動には外部性がある」という。

 少し難しかっただろうか。具体的に説明してみよう。

 例えば、公害を垂れ流して製品を作っている工場は、製品の販売相手ではない近隣住民に健康被害をもたらしているので「負の外部性がある」という。同じように感染症は、われわれが通常考えている医療である癌や糖尿病とは異なり、「他人に影響する(感染する)」のである。

社会保険料や税金で強制的に
医療費に拠出されている意味

 さて、ここで、なぜわれわれが社会保険料や税金という形で、医療費を強制的に拠出させられているのかということを考えてみてほしい。

 今回の新型コロナ対策で明らかなように、ひどい感染症対策では、公的な対策や国民の助け合いが必須なのである。

 しかし現在の社会では、医療において感染症のウエトはかなり低くなり、生活習慣病対策が中止になっている。

 言い換えれば、国民皆保険制度が「負の外部性」を持たない疾患対策中心になっているのである。