人口減少期に突入し、多様な働き手が活躍する必要性が高まっている日本。女性やシニアと同様に、外国人の活躍にも注目が集まっています。しかし、言葉や文化の違いから不安を抱く企業も多いのではないでしょうか。そこで、リクルートグループ傘下で人材総合サービス事情を手掛けるテクノ・サービス グローバルセンターの伊藤薫氏が、実際に多くの外国籍社員を採用し、一緒に働いてきた経験から、外国人部下のマネジメントの心得をお伝えします。
日本に暮らし、働く権利がありながら
機会に恵まれない人たちが大勢いる
なぜ私が外国籍の部下を持つことになったのか。それは、日本全体の人手不足が背景にあります。
私が属する株式会社テクノ・サービスは、リクルートグループの傘下で人材総合サービスを手掛けるスタッフサービスのグループ企業。スタッフサービスグループでは主に人材派遣サービスによって企業・個人双方の課題解決を目指しており、労働人口減少やより多くの方の社会進出にも向き合うべく、これまでも女性やシニアなど働く機会に恵まれなかった人たちへの就業機会拡大に取り組んできました。
そのなかで、製造業への人材派遣を担う当社が気づいたのは、就労に困っている外国人の方の存在。日本に永住・定住資格を持つ外国人労働者は約40万人いるといわれていますが、言葉や文化の違いが壁となって職に就くことができなかったり、環境になじめず早期離職したりする人がたくさんいます。
一方、当社に登録していた派遣スタッフ約2万人の中には、外国籍スタッフが約300人おり(2018年時点)、まだまだ数としては少ないものの活躍している就業者がいたのも事実。もしかしたら、日本で活躍するポテンシャルのある外国人はもっとたくさんいるのに、その力が十分に発揮できていないだけかもしれない。彼らこそ日本が必要とする人材なのではないか。そう考え、外国籍の求職者向け派遣サービス部門として新設したのが、私が責任者を務めるグローバルセンターです。
立ち上げ当初の2018年は、私と社員2人でスタート。全員日本人、かつ語学に明るいわけでもなければ、外国人雇用のノウハウもありませんでした。そこで、まずは業務上必要な通訳・翻訳ができる外国籍社員を採用することになったのです。
この採用にはもう1つ狙いがありました。企業へ外国籍スタッフを派遣するサービスだからこそ、まず私たち自身が彼らと働いてみないと、どんなに企業へ外国籍派遣スタッフの活用理解を促しても机上の空論になってしまいます。外国人と一緒に働くとはどういうことか。職場にどうなじみ、どうすればイキイキと活躍してもらえるのか。自らが実践し、ノウハウを得る必要があったのです。