「老後は後で」は手遅れ

 上田家と同じく、日々の子育てや生活に追われ、自分たちの老後資金まで考えられていない家庭は少なくないだろう。とはいえ、やはり老後のためのお金は少しでも増やしておきたい。

 そんな子育て夫婦が老後資金を貯める一番のチャンスが、「最後のタメ期」――末子が大学を卒業して独り立ちした後の定年までの期間だ。子どものための出費がなくなるこの時期が、いわば老後のための最後の貯めどき。全力で貯蓄に注力したいところだ。

 しかし、昨今の晩婚化、晩産化により、子どもが在学中に定年を迎える世帯も少なくない。40歳で末子が誕生した場合、わが子が成人するときには60歳。子どものためのお金に手いっぱいのまま、現役時代を終えてしまうことになる。これが今、老後資金が貯められない家庭の大きな課題の一つだ。

 最後のタメ期で老後資金を大きく増やすのが難しい……となると、産休前までと小学校時代の2回のタメ期に「教育費+αのお金が貯められるかどうか」が、ますます重要になってくる。

 上田さんのように第一子が中学生になった世帯も、下の子が小学生以下のうちは「まだ貯めやすい」時期。さらに貯めづらくなることを想定し、今のうちに貯蓄する習慣をつけておくべきだ。

「教育費と貯蓄の両方を考える余裕がないのであれば、まずは教育費だけでも構わないので、『お金を貯める体質づくり』をしておくことが大切です」(深田氏)

 仕事や子育てに忙しく、「老後のことは落ち着いてから考えよう」と思っている30代、40代は少なくない。しかし、“落ち着いた”ときにはもう遅い。一度立ち止まって、将来のお金について考える機会をつくってみてはどうだろうか。

<話を聞いた専門家>
ふかた・あきえ/ファイナンシャル・プランナー(CFP)。生活設計塾クルー取締役。1967年生まれ。外資系電機メーカー勤務を経て96年にFPに転身。現在は、生活設計塾クルーのメンバーとして、個人向けコンサルティングを中心に、メディアや講演活動を通じてマネー情報を発信している。
近著に『知識ゼロの私でも! 日本一わかりやすい お金の教科書』。ダイヤモンド・オンラインでマネーコラム『老後のお金クライシス!』を連載中。

◇この記事はダイヤモンド・オンラインとYahoo!ニュースによる共同企画記事です。昨年、大きな波紋を広げた「老後2000万円問題」。老後に向けた資産形成の重要性が高まっている一方、まだまだ準備できていない30~40代が多くいます。なぜ貯金、貯蓄ができないのか、その実情と課題を経済メディアの目線から伝えます。