新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療薬を、まずは既存の感染症薬の中から見つけだそうとする動きが加速している。国内発生当初からCOVID-19の診療にあたってきた国立国際医療研究センターなどを例に、その開発戦略を紹介する。(医療ジャーナリスト 木原洋美)
期待が高まる治療薬は
富士フイルムの「アビガン」
「日本でもオーバーシュート(爆発的感染拡大)が間近か?」との懸念が強まる中、新型コロナウイルスによる肺炎(病名:COVID-19)の治療薬を、まずは既存の感染症薬の中から見つけだそうとする動きが加速している。
3月30日には政府が、インフルエンザ治療薬「アビガン」(一般名:ファビピラビル)について、治験プロセスを経た上で、新型コロナウイルスの治療薬としての正式な承認を目指す方針を発表した。
承認が得られれば、すぐにでも投与が可能になる。日本政府は現時点で「タミフル」など既存のインフルエンザ治療薬が効かないような新型インフルエンザウイルスが流行した時用として、200万人分のアビガンを備蓄している。