150の売り場撤退と販管費削減でも
コロナ後の売り上げが100億円増の青写真
まず、今回発表された再生プランの中身を見ていこう。
新型コロナについては、影響が21年2月期の上期だけに留まるケースと、1年継続する2つのシナリオを想定。21年2月期の売上高は、前者の場合は440億円、後者の場合は355億円の見通しとした。
そして、どちらのシナリオになったにせよ、22年2月期の売上高は550億円の計画だ。
その一方で、販売管理費については、22年2月期までに40億円減らすとした。最も大きな要因は約150の売り場撤退によるコスト減で、19億円をここで圧縮。さらに広告宣伝・販売促進費を8億円圧縮するという。
売上高と販管費の見通しだけでも、説得力に欠けた再生プランであることは明白だ。売り場が減り、販売促進費を大きく削れば、間違いなく服は売れなくなる。特別な売り上げ増につながりそうな施策は打ち出されておらず、これまで実現できていない「100億円以上の売り上げ増」を見込むのは、いくらなんでも無理がある。
また不採算な売り場の撤退を実行しようにも、「百貨店は基本的にはグループ取引なので、地方不採算店舗を撤退する時には、合わせて都心基幹店の展開店舗もやめてくれとお願いされることが多い」(関係者)。このため、採算の取れている店舗にも影響を与えかねない施策だ。
さらに、チャネル戦略として真っ先に掲げられたのが「地方百貨店における複合展開及びショールーミング化による新たな販売手法の模索」。倒産や閉店ラッシュの地方百貨店において、今から販売手法を模索することを、具体例もなく再生プランに盛り込むあたり、練られた計画とはとてもいえないお粗末ぶりだ。
中山氏はなぜ、社内の再生委員会の案とは異なり、現実味に欠ける独自の再生プランを打ち出したのか。