欧米諸国より「Too Little, Too Late」
という批判は妥当なのか

 現金給付については、欧米諸国との比較の観点からも批判されてきた。要は、欧米諸国に比べて「Too Little, Too Late(少なすぎる、遅すぎる)」というのだ。本当にそうなのだろうか。

 まず「Too Late」だが、新型コロナウイルスの感染爆発は欧米の方が日本より先に起きた(第234回)。日本は感染爆発の危機に直面しているが、現時点ではそれは起きていない。経済対策も、欧米が先に打ち出すことになるのはある意味当然のことだ。

 日本では、5月中旬から6月に現金が配られることになり、その他の施策も動き出すようだ。確かに「遅い」とは思う。だが、欧米と日本では感染拡大の段階が違うと考えれば、絶対に許せないと感情的になるほど「Too Late」というわけではない。

 次に、現金給付を考えよう。まずは「休業補償」である。日本では、企業や娯楽業、飲食店に自粛を要請しながら「休業補償」をしないことが批判されている。一方、英国では、休業を余儀なくされた企業が従業員の雇用を維持した場合、従業員1人当たり2500ポンド(34万円)を上限に「月給の80%」を支給する。

 また英国は、サービス業や小売業、娯楽業でオフィスを借りて営業している事業者に、最大2万5000ポンド(340万円)を、その他の業種にも1万ポンド(135万円)を無条件に支給する。

 だが、実は日本にはこれとよく似た制度が存在する。英国が従業員の賃金8割を補償するのは、日本の「雇用調整助成金」と同じような仕組みだ。これは、休業する際に社員へ休業手当(月給の6割以上)を払うと決めた企業が助成を受けるというものだ。元々の制度に加えて、コロナ対策で休業手当の最大90%が助成されることになった。

 要するに、休業手当が月給の6割だった場合は「月給の54%」が雇用調整助成金制度で補償される。また、日本は事業者向け支援として「収入が落ちた場合」と条件を付けて中小企業に最大200万円を補償することを決めている。

 休業補償については、確かに英国の方が充実はしている。だが、日本がそれほど劣っているという程でもないのが実態だ。「休業補償は何もない」という批判は的外れである。そして、日本がこれから実施することになる「家計支援」だが、英国は現段階では直接的な家計支援は何もしていないのだ。