コロナ危機を救うクライシスマネジメントの本質新型コロナウイルスという未曽有の危機に対しては、専門家ですら意見が分かれることもあります Photo:PIXTA

 この連載「コロナ危機を救うクライシスマネジメントの本質」では、マネジメントの対象である「危機的状況」の本質を捉えることが大切であるとお伝えしてきました。新型コロナウイルスは未曽有の危機であり、状況は刻一刻と変化しています。一週間前には有効だった方法が、今日は適切ではない、ということが大いにあり得るのです。

 このようにまだ明らかになっていないことも多いウイルスであり、事態が日を追うごとに変化するため、専門家の間でも意見が分かれることが少なくないようです。たとえば、「マスクに感染防止効果があるか否か」も、意見が分かれた議論の一つでしょう。米CDC(疾病対策センター)も見解を変えたほどです。

 読者のみなさんも、何を、誰の言うことを信じればいいのか、と戸惑っているかもしれません。しかし、考えるべきことは至ってシンプルです。「危機の本質」を捉えた上で、目的と状況に応じて、対策の優先順位を考えていけばよいのです。

 先日、私が代表を務めるエッセンシャル・マネジメント・スクールでは、緊急公開講義を行い、感染症の専門家である神戸大学教授の岩田健太郎さんにお話をお聞きしました。そこで岩田教授がお話しされていたことは、新型コロナウイルスという危機に対するマネジメントのあり方を考える上で、非常に有意義だと思いますので、今回はまずそのお話を例に進めていきましょう。