暗記をするときにやってしまいがちなのは、覚えているか、忘れてしまっているかをきちんと確かめずに、なんとなくチェックすることだ。

 とくに受験生の多くは「せっかく頑張って暗記作業をしたのに覚えていなかった」ということが明確になり、残念な気持ちになることを嫌がる。

 そのために、覚えているか、忘れてしまっているかのチェックを曖昧にしてしまう。そして、いざ試験になって失敗する。普段より緊張する試験本番において、あやふやな記憶はまったく役に立たない。勇気を持って記憶ができているかどうかを確かめなければならない。

 本当のところをいえば、「勇気を持って」確かめる必要などない。なぜなら、エビングハウスの忘却曲線理論から明らかなとおり、人は一度覚える作業をしただけでは物事を記憶できず、繰り返し覚える作業をすることではじめて記憶できるものだからだ。

 一度覚えたのに、すぐに忘れてしまい絶望的な気分になる、というのは、一度の覚える作業で確実に記憶できるものだ、という前提があるからだ。

 それは明らかに間違いである。何度も覚えてはじめて記憶できる、ということが理解できていれば、一度覚えて忘れてしまっても当たり前のことだという感覚になる。

 インプットがうまい人は淡々と「忘れる」ことができる。そして「忘れる→覚える」の作業を徹底して、ひたすら繰り返すことができるのだ。「覚えていないこと」に一喜一憂することがない。

 このように、記憶というインプットに対する「考え方」を変えるだけで、暗記することへの苦手意識を取り除くことができる。

スマホのアプリよりも
紙の「単語帳」が最強の記憶ツール

「毎回、自分に問題を出して記憶しているかどうかをチェックする」という覚える作業に最適なツールは、古くからある「単語帳」だ。

 スマホをはじめとする小型電子機器が発達した現代で何をいまさらと思われるかもしれないが、私が子どものころから文房具店で売られている単語帳が、繰り返しで記憶を定着させるために一番適したツールである。逆にいえば、それだけ記憶定着にとってすぐれたツールであるからこそ、いまだに文房具店で売られているのだろう。