コロナ報道にも
ガイドラインを作るべきだ

 断っておくが、ちょっと熱が出たくらいでPCR検査を受けさせろと騒ぐ人が問題だなどと言いたいわけではない。PCR検査に限らず、検査というのは、症状のある人に対して行うのが原則で、「不安を解消するため」のものではない。しかし、現状ではそこまで検査を必要としない人までが医療機関や、さまざまな相談窓口に押しかけて、医療従事者や自治体の職員に凄まじいダメージを与えている。

 その原因のほとんどは、テレビがやたらと恐怖を煽っているからではないのか、と申し上げているのだ。

 AIを利用したデータ分析などを行なっている「インサイトテック」が約3000人を対象としたアンケートをしたところ、新型ウイルスに関する報道が「過剰」だと思っている人は53%に及んでいる。

 ネットやSNSのデマが悪い、と緊急事態宣言時の安倍首相が言ったようなことを想像する人が多いかもしれないが、このアンケートに回答した人が主な情報源として回答したのは、テレビが66%で、ネットが25%、SNS6%、そして新聞や口コミが各1%だった。つまり、多くの人が感じるコロナ過剰報道は、ネットやSNSよりもテレビから発信されているのだ。

 では、どうすればいいのかというと、早急に「新型コロナ報道ガイドライン」を整備するしかない。これまでもマスコミ報道は、たびたび社会にパニックを引き起こしてきた。例えば、有名人の自殺をセンセーショナルに報じると、それに触発されて自殺者が増えることがわかっている。また、自然災害では津波や倒壊した建物の映像を繰り返し流すことで、被災者にトラウマを植え付けるとともに、復興の足を引っ張るという批判も受けている。これらの「前科」を踏まえるとガイドラインは、以下のようなところが大きなポイントだろう。

・コロナウイルスによる死亡例、死者数をセンセーショナルに扱わない
・著名な人の死を伝える時には特に注意をする
・恐怖を煽るような映像、最悪シナリオなどを過剰に繰り返し報道しない
・重症者や死者にフォーカスを当てた報道ではなく、大多数である軽症者も均等に報じる
・感染者の数を毎日積み上げる当局の発表をそのまま流さない
・当局が回復者や軽症者の数を公表していなくても、独自に調べて社会に伝えていく

 という話をすると「報道の自由が脅かされる!」と、この世の終わりみたいに騒ぐ業界人たちがいるが、「報道の自由」というのは、「オレたちのやりたいように、なんでもかんでも好き勝手にやれる自由」ではない。

 少なくとも、亡くなった人の遺骨をさらしものにしたり、不安な日々を過ごす人たちに対して、いたずらに恐怖を煽ったりするようなことは、「報道の自由」ではないはずだ。

 日本全国で外出を控えよとか、店を開くのはおかしいという話が出ているが、実は今、最も「自粛」をしなければいけないのは、マスコミなのではないのか。