【オンライン面接のコツ(5)】
最後の挨拶はカジュアルに

 対面の面接では、終わった後にも人事担当者がエレベーターや会社の出口まで見送りすることで、コミュニケーションを取ることができる。しかしオンラインでは、ビデオ会議ツールの「退出ボタン」を押して、画面が消えてしまえばそれで終了。ともすれば冷たい印象になりかねない。

 そこで住谷氏が行っているのが、あえて親しみを持ってもらえるように最後の挨拶をカジュアルに行うことだ。

「最後の挨拶は、頭を下げて終わりだと冷たい印象になりかねない。学生も企業側もお互いの情報が少ないなかで、親しみを持ってもらうために、最後は頭を下げて終わりではなく、『バイバイ』と手を振って終わるようにしている」(住谷氏)

オンライン面接をためらう企業が
感じている「2つのハードル」とは?

 緊急事態宣言後もオンライン面接を導入せず、対面式の説明会や面接を続ける企業や、選考自体の延期を決めた企業もある。しかし、「若手の採用担当者の中には、オンライン面接を行いたいと訴えているのに、上司や経営陣が納得してくれない」(オンライン面接ツール「ハルタカ」を展開するZENKIGEN・野澤比日樹 代表取締役CEO)と不満を漏らすケースも多いという。

 何がオンライン面接の推進を妨げているのか。住谷氏は、2つの理由を挙げる。

「1つは、物理的なシステム導入に関するハードルだろう。コストや導入までの時間の問題、リテラシーなどへの不安が背景にある。しかし、それ以上に大きいのが、選考できるか、面接が成立するクオリティになるのかという上層部の懸念だ。確かに最初は心配もあるのかもしれないが、私自身は2年前に始めて以降、オンライン面接によって選考ができない、面接が成立しない、と感じたことはない。実は杞憂にすぎないのではないか」

 コロナ禍においても、いまだに対面の選考を行う企業については、ツイッター上などで就活生が「こんな企業には行きたくない」「ブラックだ」などと声を上げるなど、企業のイメージを左右しかねない。「採用方法は企業カルチャーそのもの」(住谷氏)と受け止める学生もいることを肝に銘じるべきだろう。

「ツールを入れるだけで、オンラインを活用した採用が進むわけではない。改革を進めるためには、経営陣や選考に協力してくれる社員、ベテランの人事担当者を巻き込むなど、『オンラインで採用をなんとしてもやるんだ!』という担当者の推進力が最も大切になる」(野澤氏)というように、導入を決めた場合は、人事担当者が覚悟を決めて上層部のみならず、全社的な協力を仰ぐことが大切だろう。