就活は単なる「仕事探し」ではない
熊谷 徳谷さんは就活を本気で取り組んだタイプですか?
徳谷 かなり真剣に取り組みました。実は、今から15年ほど前、『絶対内定 2005(年卒版)』をボロボロになるまで読み込んで、本に掲載されている「我究ワークシート」はすべてコピーして書き込みました。『絶対内定』に出会えていなかったら、私は違う人生を歩んでいたかもしれないです。『絶対内定』は、私の当時のバイブル本だったんですよ。
熊谷 そう言っていただけると、うれしいです。
徳谷 最近の就活の傾向をみると、有名企業の内定を取ることを目的とした「対策型就活」が多い印象です。そのことは悪いとは思いませんが、就活を本気でやるというのは、必ずしも有名企業に入ることではないと考えているんです。
就活は、単なる仕事探しではなく、自分と向き合いながら、自己内省したり、自分が全力で取り組める本当にやりたい仕事を探したり、今後どう生きたいかという機会の選択肢を増やすことです。なので、内定をもらった途端に遊びはじめる学生さんを見ると、もったいないなと思います。
熊谷 「内定をゴール」とするのはもったいないと。
徳谷 内定をゴールに設定すると、いざ、働き始めたときにはもう熱量が下がっているんです。就活で芽生えた主体性や熱量を、内定とともに失ってしまうのはもったいないことです。我究館さんの受講者にはそういう方はいないと思うんですけど。
熊谷 少ないです。けれど、「内定がゴール」タイプの同期や、熱量が低い上司や先輩に「こんなはずではなかった…」と、戸惑う卒業生はたくさんいますね。
徳谷 うーん。周囲とのモチベーションにギャップがあるとツライですよね。
熊谷 よく聞く話です。たとえば、入社してすぐに「先輩方の夢ってなんですか」みたいな熱い質問をしてしまって、「いるよな、キミみたいな熱量の高い新人って」と冷めた目で苦笑いされたり、「そんなに飛ばしすぎるな」と言われてしまったり。
徳谷 企業とカルチャーフィットしても、温度感がフィットするとも限らないですからね。入社当初は、やる気もポテンシャルもあったはずなのに、熱量の低い先輩・上司にことごとく水をさされてしまい、自身のやりたいことや成長、昇進からも遠ざかってしまう。
気づいたときには、30代になってしまって、急成長を遂げた同世代や後輩と大きな差がついてしまっている。あってはならないことなんですけど。有名企業に入った方からの、こういった方のキャリア相談も我々のもとには増える一方です。