国保加入者の3割は
非正規雇用の被用者

 1938(昭和13)年7月1日に始まった国民健康保険は、もともと農村の深刻な医療問題を解決するために導入されたもので、農民漁民、都市部の自営業者を対象とした医療保険制度だった。

 だが、1959(昭和34)年1月1日に施行された現行の国民健康保険法では、だれもが健康保険の恩恵を受けられるようにするために、被用者保険の加入者と、その家族を除くすべての人に対して、国保への加入を義務づけた。つまり、国保は、他の健康保険に加入できない人すべての受け皿になっている。

 こうした国保の特徴から、加入者の内訳は、産業構造の変化や高齢化によって、設立当初と比べて様変わりしている。

「平成30年度 国民健康保険実態調査報告」(厚生労働省保険局)によると、国保加入者(世帯主)の職業は、1965(昭和40)年度には、農林水産業者42.1%、自営業者25.4%で、この2つで7割を占めている。被用者は19.5%で2割弱だ。

 ところが、10年後の1975(昭和50)年度には、農林水産業者が23.3%まで減少したのに対して、被用者は31.4%に増加している。年々、農林水産業者や自営業者が減少していくなか、被用者の割合は3割程度をキープ。

 2015(平成27)年度には、その割合は完全に逆転し、農林水産業者2.5%、自営業者は14.5%なのに対して、被用者が34.1%となっている。当初、農民漁民、自営業者のために作られた国保は、勤務先の健康保険に加入できない被用者が大きな割合を占めているのだ。

 国保加入者に占める被用者の増加は、一次産業人口の減少もあるが、雇用形態の変化も大きな要因となっている。

 終身雇用が当たり前だったのは、はるか昔のこと。総務省統計局の「労働力調査」(2019年)によると、今や全労働者に占める非正規雇用の人の割合は38.3%(男性22.8%、女性56%)に及ぶ。

 非正規雇用でも、一定要件を満たせば社会保険は適用されるが、従業員数501人以上の企業の労働者は、週の労働時間が20時間以上、月額賃金8万8000円(年収約106万円)以上が加入の要件だ。従業員数500人以下の企業なら、週の労働時間が30時間以上(年収約130万円超)で社会保険に加入することになる。

 だが、非正規雇用の人の収入は、39.3%が100万円未満で、これらの人は被用者保険の適用にならない。