なぜ日本の「感染者数」は危機マネジメントの根拠として不十分なのか
危機的状況を適切にマネジメントする上で、科学的なエビデンスは欠かせません Photo:picture alliance/gettyimages

PCR検査の結果は
「エビデンス」になり得るか

 危機の対象自体の性質を理解することは、適切なマネジメントには欠かせません。そして、その危機対象――今回では新型コロナウイルスの性質を正しく理解するために重要になるのは、「科学的なエビデンス」です。

 当然ながら、PCR検査の結果は、重要なエビデンスになり得ます。ところが日本のPCR検査の結果は、危機をマネジメントする上でのエビデンスとして十分に使えるものにはなっていません。どうしてでしょうか。

「エビデンス」を十全に活用するためには、そもそも「エビデンス」とは何なのかを理解する必要があります。

 数値化され、グラフになっているだけで「客観的なデータ」のように見えることから、エビデンスとは「客観的な証拠」あるいは「客観的な事実」のように思われている節があり、データが一人歩きすることも珍しくありません(「専門家」といわれる人ですら数値化すればよいと考えている人も少なくないのです)。

 ところが、PCR検査の結果は、客観的データでも証拠でもありません。特に、日本のPCR検査は、極めて限られた人しか検査してもらえないことが問題視されてきました。

 そもそもPCR検査の感度=検査の精度は7割程度といわれており、検査の結果が「陰性」となっても、それはコロナでないことを保証するものではないことは専門家からも繰り返し指摘されています。

 エビデンスの本質とは、「判断や意思決定の根拠として使えること」にあります。

 逆にいえば、いかに数値化されていたり、グラフ化されていたりしても、判断や意思決定の根拠にできなければ、エビデンスとしては使えないということなのです。