1つ目は、遠慮しがちなメンタリティです。

「みんなの前で堂々と意見を主張するなんておこがましい」

「それほど自分は実力のある人間ではない」

 よく言えば日本人らしい「謙遜」のあらわれなのですが、悪く言えば「押し出し」に欠けています。

 私が講演をしたあとに「感想でも質問でもいいので、ぜひ発言してください」と差し向けると、会場全体がシーンとすることがよくあります。

 そうやって全体に対して挙手を求めると萎縮してしまうのですが、こちらから個別に指名して意見を求めると、案外きちんとした意見が出てきます。

 要するに、ただ遠慮をしているだけなのです。

 謙虚は美徳の1つですが、あまりにも自信のなさそうな振る舞いや、言いよどむような態度は、頼りなさそうな印象を与えます。

 周りの人はもどかしく感じますし、「早く言ったらどうなの!」とイライラすることさえあります。

 理由の2つ目は、恐怖心です。

 遠慮する気持ちの裏側には、間違うことへの恐怖心もあります。

「間違えたくない」という気持ちが強いと、発言するときにブレーキがかかってしまうのです。

「間違うくらいなら、発言しないほうが無難だ」という心理も働きがちです。

 そもそも発言することに正解も不正解もありません。どんな意見もアリなのですが、学生時代のペーパーテストで唯一絶対の正答を求められてきた影響が大きいのかもしれません。

 もちろん、正しい情報を発信することは大切ですが、それがアウトプットにブレーキをかけてしまうのは困りものです。