では、今年の冬にどうなるのか。それはブラジルをはじめとする南半球の国々で、この夏(現地は冬)どのようにコロナが流行していくかを観察することで学べるのです。この先、アメリカでもどこかのタイミングでコロナは収束していくはずです。しかしブラジルは、今のような状況では収束までに長い時間を要するでしょう。

 それがいつまで、そしてどこまで続くのかを確認することで、この冬に北半球の国々が危惧する再流行の性格が予測できるのです。

経済優先に踏み切れるか否かは
「医療崩壊」の可能性次第

 そして問題は、3番目のポイントです。ブラジルのボルソナロ大統領はコロナ対策として経済を優先させる方針を立てたものの、結局経済は崩壊しています。医者出身の立場でコロナ封じ込め政策を進言した保健相を更迭した結果、医療崩壊が起き、患者も死者も増加の一途を辿っているのです。

 各州知事が大統領と対立するのは、この医療崩壊に直面しているからに他なりません。もしもの話ですが、仮に医療崩壊が起きていなければ、ボルソナロ大統領も一定限度の経済優先政策は州知事からの了解を取り付けることができたかもしれません。

 しかし、国民の命が危機に晒される事態が起きてしまっては、いくら経済優先を叫んでもどうしようもない。結果として、感染防止も経済もどちらも成果を得ることができず、医療までもが崩壊してしまいました。

 1つ目のポイントで述べたように、この冬、日本の再流行では世論が真っ二つに割れるでしょう。しかし、そこで経済を優先させて医療崩壊を起こしてしまうと、経済政策でやりたいことがいつまでもできなくなるということを、ブラジルの現状から学ぶことができます。

 実際にコロナ封じ込めに失敗したブラジルの国民にとっては、当面の間、試練が続くわけですが、日本としては、できるだけその失敗から学ぶことで、これからやってくるであろう「新しい試練」に備えることができます。それが、今とても大切なことなのです。

(百年コンサルティング代表 鈴木貴博)