テレワーク急速拡大も
中小企業には厚い壁

 パーソル総合研究所が、7都府県に緊急事態宣言が発令された直後の4月10~12日に、全国2万人超を対象に実施したテレワークに関する緊急調査によれば、正社員におけるテレワーク実施率は27.9%だった。3月に同社が同様の規模で実施した調査では実施率13.2%だったことから、テレワークは急速に普及しているといえる。

 一方で、その「普及度合い」には濃淡が見て取れる。

 同社の調査(4月10~12日実施)によると、企業規模別にテレワーク実施率を見た場合、従業員数1万人以上の企業では実施率43.0%なのに対し、100~1000人未満では25.5%、10~100人未満では16.6%と差が開いた。

 テレワーク非実施者に聞いたテレワークができない理由については、最も多かった「テレワークで行える業務ではない」(47.3%)に続いて、「テレワーク制度が整備されていない」(38.9%)、「テレワークのためのICT環境が整備されていない」(19.9%)が挙げられている。中小企業におけるデジタル化の壁はコロナ禍以前にも指摘されていたが、今回のテレワークへの切り替えの動きにおいても、その差は如実に表れているようだ。

テレワーク普及
一番の壁は「危機感の差」にあり?

 パーソル総合研究所主任研究員の小林祐児氏は、今回の緊急調査結果を踏まえ、テレワーク導入にはセキュリティーや制度面のハードルはあるものの、「一番の差は『危機感の違い』にあったのではないか」と指摘する。

 小林氏によると、4月の調査当時における都道府県別のテレワーク実施率と、それぞれの地域の新型コロナウイルス感染者数には強い相関関係が見られたという。つまり、新型コロナウイルスの感染拡大が急速に進んでいた地域では、テレワーク実施率が高かった。実際、47都道府県をテレワーク実施率が高かった順に並べると、上位8つのうち7つが4月8日に緊急事態宣言が発令された7都府県となった。一方で、感染者数が比較的少ない地域においては、テレワーク実施率が低い傾向が見られた。

 中小企業でテレワーク実施が進まない理由についても、制度やICT環境の問題のほかに、この危機感の差が指摘できる。

「2月ごろから国内で感染者が増え始め、大企業での感染者が発生したことはニュースなどで報道されるようになりました。『従業員に感染者が出る』『自社でクラスターが起こる』といったときに生じるリスクは、中小企業より大企業のほうが大きい。こうした事情も背景にあったと思います」(小林氏)