上下階の騒音トラブル、ゴミ置き場の清掃問題、大雨による浸水、欠陥工事、管理費等の値上げ、大地震の被害……。分譲マンションに住む人にとって、悩みや不安はつきません。
さらに、新型コロナウイルスによる外出自粛で在宅勤務になり住環境の重要性に気づいた人も多いことでしょう。
『マンション管理はこうして見直しなさい』では、「うちのマンションは大丈夫だろうか?」と感じている多くの人に向けて、マンション管理のプロである著者が、イライラや不安、疑問などの問題をわかりやすく整理して、解説。
今回は、「修繕積立金会計の赤字」について。ひとつは、修繕積立金を算出するもとになる「長期修繕計画」を精査することです。もうひとつは、管理費の無駄を省いて、その分を修繕積立金に回すことです。

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新築で入居したら、すぐ手を打とう

 修繕積立金会計の“赤字”は、意外に気づかないものです。「分譲当初に設定された金額を支払っていれば大丈夫なのだろう」と多くの区分所有者がなんとなく思い込んでいるからです。

 分譲から10年を過ぎ、そろそろ大規模修繕工事のタイミングという頃になって、管理会社のほうから「このままでは工事費が不足するので、修繕積立金を値上げする必要があります」といった提案が出てきて、驚くことになります。

 対策としてはまず、修繕積立金を算出するもとになる「長期修繕計画」を精査します。工事項目に不要なものや抜けているものはないか、想定される工事費の単価や数量は妥当かなどチェックすると、意外に不備が見つかったりします。建築の専門家に頼む必要がありますが、どれくらい修繕積立金が不足する可能性があるのか、根拠をはっきりさせることは重要です。

 次に、管理委託費の見直しを検討してみます。管理委託費で割高な項目などを見つけ、管理会社と値下げ交渉し、値下げできた分をそのまま修繕積立金会計に回すのです。

 図表46は総戸数100戸のマンションを想定してのシミュレーションです。管理委託費の見直しにより、年間1800万円の管理費会計(1戸当たり月額1万5000円)を3割削減できたとすると、年間540万円が浮きます。

 このマンションでは、修繕積立金が1戸当たり月額5000円とかなり低い想定ですが(29ページ参照)、管理費会計から540万円を繰り入れることができれば、年間の収入をほぼ倍増させることができます。結果的に、修繕積立金の値上げ幅をかなり圧縮することにつながるでしょう。基本的な対策の考え方として、参考にしてみてください。

(本原稿は、ソーシャルジャジメントシステム編、廣田晃崇著『マンション管理はこうして見直しなさい[新版]』からの抜粋です)