一度聞いた名前は必ず覚え、要所要所で口にする

 挨拶で重要なのは、相手の名前をきちんと扱うことです。名前を忘れるのは論外ですが、要所要所で名前を口にしないのはもったいないです。

 日本人は相手からもらった名刺を丁寧に扱いますが、グローバルで大切なのは、名前を書いた紙切れではなく、名前そのものです。相手の名前をきちんと発音し、覚え、そして、頻繁に使うことが、その証しとなります。

 ですので、挨拶の段階で発音を確認し、わかりにくければ聞き直しましょう。違う発音で何度も呼ぶよりは、

 I’m sorry but can you repeat your name?
 →すいません、お名前をもう一度お願いできますか

と、最初に聞き直した方がましです。そして、その場で相手の名前を呼び始めましょう。

 そして、「I’m Tom」と言われたら、

 How was your trip, Tom?
 →トムさん、旅はどうでしたか?

 How was your flight, Tom?
 →トムさん、フライトはいかがでしたか?

など、どんどん口にすることです。

 一度聞いた名前は、必ず覚えましょう。日本人同士は、旧知の人と会ったとき、「こんにちは、お久しぶりですね……」と名前を呼ばなくても違和感なく会話できますが、グローバルでは、「Hi, Tom!」と名前を呼ばないと失礼に当たります。

 同様に、相手の家族や大切な人の名前が会話に一度でも出てきたら、絶対に覚えたいものです。夫の名前が「Steve」だと知れば、次回「How’s Steve?」(→スティーブさんはお元気ですか?)と話題に出せるのです。

 しかしそこで、「How is your husband?」(→ダンナさまはお元気ですか?)と濁してしまっては、さほど自分たちに興味がない、と思われても仕方がありません。 

 身分と身分のつながりではなく、名前で呼び合える個人と個人のつながりが重要なのです。

「名乗りを上げぃ!」武士の時代から進化してない日本人
児玉教仁(こだま・のりひと)
イングリッシュブートキャンプ株式会社代表
ハーバード経営大学院 ジャパン・アドバイザリー・ボードメンバー
DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー アドバイザー
静岡県出身。静岡県立清水東高等学校を卒業後、1年半アルバイトで学費を稼ぎ渡米。ウィリアム・アンド・メアリー大学を経済学・政治学のダブル専攻で卒業後は、シアトルでヘリコプターの免許を取得後帰国。1997年4月三菱商事株式会社入社。鉄鋼輸出部門に配属され様々な海外プロジェクトに携わる。2004年より、ハーバード経営大学院に留学。2006年同校よりMBA(経営学修士)を取得。三菱商事に帰任後は、米国に拠点を持つ子会社を立ち上げ代表取締役として経営。2011年同社を退社後、グローバル・リーダーの育成を担うグローバル・アストロラインズ社を立ち上げる。2012年よりイングリッシュブートキャンプを主宰。イングリッシュブートキャンプ社代表も務めるかたわら、大手総合商社各社をはじめ、全日本空輸、ダイキン等、様々な国際企業でグローバル・リーダー育成の講師としてプログラムの開発・自らも登壇している。