「名乗りを上げぃ!」武士の時代から進化してない日本人Photo:Diana Johanna Velasquez/123RF

日本人の自己紹介は丁寧すぎる。「我こそは、○○家家臣、○○家嫡男、○○○である!」と、まるで戦国武士の名乗りのようで、必死に身分を紹介しようとしがちである。それが悪いとは言わないが、組織名やタイトルの棒読みで回りくどい印象を与えるのは損だ。
米国の大学やハーバード・ビジネス・スクールで学び、総合商社で丁々発止のビジネスを行ってきた経験を踏まえて、現在、日本人の英語力向上とグローバル・リーダーの育成に携わる著者が、最新作『グローバル・モード』から抜粋してそのコツを紹介する。

肩書や身分より、本人そのものが大切 

 英語で自己紹介というと、一般にはこのような形が多いのではないでしょうか。

 Hi, my name is Naoki Honda.
 →こんにちは、私はホンダナオキです(フルネームを言う)  

 I’m the manager of the Plastic Product Unit in the Marketing Department of Tokyo Corporation.
 →東京株式会社のマーケティング部プラスチック製品課課長です(役職名と組織名をいう)  

 Please call me Nao.
 →ナオと呼んで下さい(ニックネームを言う)   

 It is very nice to meet you.
 →お会いできて光栄です(挨拶のテンプレート)

 しかし、よく考えると、面談のアポを取っている時点で会社名はわかっています。組織内の部署名はさほど重要ではなく、権限に関する役職情報と、営業なのかマーケティングなのか機能がわかれば十分なのです。

 日本人の自己紹介は丁寧すぎて、必要以上の情報を付加しています。「我こそは、○○家家臣、○○家嫡男、○○○である!」と、まるで戦国武士の名乗りのよう。つまり、必死に身分を紹介しようとしているわけです。

 子供を持つ親同士が、「メイちゃんママ」「トモハルくんパパ」などと呼び合うのも、似たようなものかもしれません。当人より、その場にふさわしい身分を前面に出してしまうのです。ビジネスの場ですから、身分を押し出すことが悪いとは言いませんが、組織名やタイトルの棒読みで回りくどい印象を与えるのは損です。

 グローバルで大切なのは、「身分」よりも「本人そのもの」です。公私をそれほど厳密に切り分けないので、公の身分より相手そのものを重視します。「メイちゃんママ」ではなく「アヤさん」など、名前で呼び合う形で関係を築きます。

 必要なのは、自分の役割と権限の範囲が伝わることです。部課長レベルならMarketing manager、本部長や執行役員レベルならMarketing officerあるいはCMO(Chief Marketing Officer)ぐらいで大丈夫。大きな自信のある声で、しっかりと相手の目を見据えてスパッと挨拶し、握手は強めにギュッと握るのが効果的です。

 Hi, I’m Mike.
 →マイクです(ニックネームを言う) 

 I’m in marketing.
 →マーケティングです(組織における機能を言う)  

 It’s very nice to meet you.
 →お会いできて光栄です(挨拶のテンプレート )