次に「教養娯楽」に含まれる個別の項目を見てみると、「パック旅行費」はマイナス97.3%(ただし名目)、宿泊費はマイナス94.7%と、やはり観光業界の損失は極めて大きく、「壊滅的」と言ってもいい程の打撃を受けていることが分かる。また「教養娯楽」には含まれないが、観光業という範疇(はんちゅう)に含む「交通」はマイナス73.0%と、こちらも大打撃を受けていることが分かる。

 むろん「交通」には旅行のための利用だけではなく通勤・通学から日常的な利用までが含まれるわけであるが、交通事業者(国際線を有する大航空事業者や大手鉄道事業者から地域のバス事業者等まで)における損失は想像以上であると言えるのではないだろうか。

「シャツ・セーター類」は
マイナス68.0%

 では、費目ではマイナスの値が一番大きい「被服及び履物」の個別の項目はどうであろうか。

「洋服」はマイナス58.9%、「シャツ・セーター類」はマイナス68.0%、「履物類」はマイナス60.9%と軒並み大幅減である。

 これは、言うまでもなく、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて年度末、年度初めのさまざまな行事が中止や延期となったこと、緊急事態宣言が発出されたことにより自宅で作業をする人が増え、また外出の機会が大幅に減ったことなどにより、この季節の変わり目という機会に服や履物を新調する需要が極端に減ったことによるものだろう(なお、同費目の中で「生地・糸類」は前年同月比プラス95.7%〈ただし名目〉である。これはマスク不足からマスクを自分で製作する人が一気に増えたことによるものではないか)。

 しかし、冒頭でも触れたように、観光関連産業や飲食業における消費減は、メディアなどにおいて取り上げられる機会が多いが、「被服及び履物」関連産業、端的に言えばファッション産業の窮状は、大手事業者が倒産した時や、大量に店舗を閉めるといった時ぐらいにしか取り上げられないし、その扱いも倒産関連ニュースの一環であるようである。

 ファッション産業の消費は、商店街や百貨店、大型商業店舗を問わず、消費額の多寡はあるにせよ、人を動かす、賑わいを創出する原動力の一つであると言っていいだろう。

 ファッションのデザインや在り方は、その地域や国の個性を表すものであるとも言えるし、クールジャパン(私はこの言葉は好まないが)という点でも、その重要な要素であろう。

 家計調査の結果には表れてこないが、ファッション産業の後ろ側、実際に消費する店舗の後ろ側には、生産・縫製事業者、生地や糸等の材料の製造事業者、デザイナー 、パッケージの製造事業者等様々な事業者がおり、そこが雇用を生んでいるのみならず、さまざまな技術を生み、また継承されている。

 そうした担い手には地域の中小事業者も多く、中には岡山のデニムのように世界的に高い評価を受けているところもある。