「札幌にサウス・バイ・サウスウエストを」

藤田:「NoMaps」は、(アメリカのオースティンで開かれている音楽祭、映画祭、インタラクティブフェスティバルなどを組み合わせた大規模イベントの)「サウス・バイ・サウスウエスト」を意識しているそうですね。

廣瀬:「NoMaps」の源流は、2つありました。1つは、札幌市が10年ほど続けてきた「札幌国際短編映画祭」の流れです。これは文化事業としては成功し、短編映画祭として海外でも認知が高い。しかし本来の目的である札幌市の経済振興に結びつけるところで苦戦していて、なかなか展望が開けずにいました。この状況を変えようという中で、いろいろな事例を研究し、探し当てたのが「サウス・バイ・サウスウエスト」だったんです。

北海道の大規模カンファレンス「NoMaps」大成功のワケ(前編)

 もう1つは、札幌の地元企業の動きです。当時、北海道経済産業局が主催していた「ドゥーチエ・プロジェクト」という北海道の有識者や経済関係者を集めた会合で、地域経済の活性策を議論していました。その中で、「メディアミックス型のコンベンションイベントをやってはどうか」という話が盛り上がったんです。

 現在、「NoMaps」に関わるクリプトン・フューチャー・メディアの伊藤博之氏や、国内有数の野外フェスであるライジングサン・ロック・フェスティバルを主催するウエスの小島紳次郎社長が参加していて、ここでもやはり、「サウス・バイ・サウスウエスト」が話題になりました。伊藤さんも小島さんも、「あんなイベントを札幌でやりたい」と考えていたんです。

 クリプトンはIT系、ウエスは音楽系ですが、そこに札幌市の映画祭が加わることで、「サウス・バイ・サウスウエスト」と同じように「IT×映画×音楽」という3本柱が立てられると盛り上がりました。とても短絡的な発想ですが(笑)、そこから札幌市と民間企業が意気投合して、一気に話が進んだんです。